お疲れ様です!

今回は「実需の正体とは何ぞや?」というテーマで少々お話してみたいと思います。

 

私もよくX(旧ツイッター)でドル円のチャートを見ながら

「実需の買いが入った」

「実需の売りが出た」

といった表現を使いますが、この実需の正体とはいったい何なのでしょうか?

今回はそのあたりを少し掘り下げてみたいと思います。

 

実需とは、大きく分けると

● 輸入企業

● 輸出企業

の2つが存在します。

 

まずは輸入企業からお話しますと、日本の輸入企業は主に原油・天然ガスといったエネルギーを海外から輸入しています。

そして輸入企業は円を基軸通貨であるドルに両替して、貿易相手国に支払いを行います。

なので輸入企業を一言で言うと、常にドル買いを行っている企業ということになります。

 

次に輸出企業ですが、こちらは文字どおり、商品・サービスを海外に輸出している企業です。

そして日本の輸出企業は、基軸通貨であるドルでその対価を受け取り、円に両替します。

なので輸出企業を一言で言うと、常にドル売りを行っている企業ということになります。

 

要するに実需には、輸入企業と輸出企業が存在し、その両者はドル買いとドル売りのまったく反対のことを行っている企業ということになります。

ここまでは、FX取引をかじったことのある方であれば、ほとんどの方が理解している内容だと思います。

 

ただせっかくですので、今回はもう少し掘り下げていきますね。

 

実は輸入企業のドルの買い方、そして輸出企業のドルの売り方にはそれぞれ特徴があります。

それは両企業が貿易で扱っている「モノ」の違いに大きく起因します。

 

先にも申し上げたとおり、日本の輸入企業は主にエネルギーを海外から輸入しています。

ちなみに8割はエネルギー、その他は食品などになります。

これらは、私たちの生活に大きく関わる「モノ」です。

なので、輸入企業のドルの買い方は、少しずつコンスタントにドルを買って平均化を図ろうとします。

例えば輸入企業が一気にドルを買った後、大きくドル円が暴落してしまった場合、その損失はエネルギーや食品の値上げという形で補填される可能性があります。

そうなっては、私たちの生活が不安定なものになりますよね。

また日本企業の特徴として、ゴト―日に国内での伝票処理が多くなる関係で、海外への送金や決済処理もこのタイミングに集中します。

そのため、輸入企業のコンスタントなドル買いにより、「ゴト―日はドル円が仲値決定時間に掛けて上昇しやすい」という有名なアノマリーが存在するわけです。

 

一方、輸出企業のドルの売り方は、言ってしまえば、その企業の自由です。

円が必要なときにドルを売ってきます。

なので、コンスタントにドル売りをしているわけではありません。

ただ、輸出企業のドルの売り方にも、ちょっとした特徴があって、基本的に年度の最初から早めにドル売り予約をして、ドルを捌いていきます。

あくまで傾向ではありますが、そのため、4月から夏に掛けての輸出企業のドル売りの量は多く、秋からの輸出企業のドル売りの量は少なくなります。

このような背景から、実は先に申し上げた「ゴト―日はドル円が仲値決定時間に掛けて上昇しやすい」というアノマリーは、春・夏よりも秋・冬の方がハマりやすかったりもします。

くどいようですが、あくまで傾向ですがね。

 

さて、今回は実需を少し掘り下げてみましたが、いかがだったでしょうか?

もっと掘り下げればオプションなどのお話もしなければならないのでしょうが、それはまたの機会にお話できればと思います。

 

何かしらご参考になればと思います。

 

では失礼致します。